あのときと、同じ。
持っている服の中で唯一活動的な黄色いつなぎの服。
顔を隠すためのフードがついた、白いローブ。
いつも身に付けている、大切な宝珠。
息を弾ませて広いホールを駆け抜ける、この、緊張感。
違うのは、肩の上で揺れる髪と、ベアトリクスたちを置いて城を去る悲しみ。
あのときは、これから始まる冒険に少しわくわくしてさえいた。でも今は、悲しみと、不甲斐なさでいっぱいだった。
『ぜったいに、ぜったいに助けに戻ってくるから……!』
ベアトリクスに送り出されるとき、自分にはそれしか言えなかった。
首を横に振りつづけた自分が決意を変えたのは、おとなしく囚われていても状況は全く変わらないと思ったからだ。
そして、なによりもまさった感情、
ジタンに、会いたい……!
彼が死んだなんて、ただそう聞かされただけでは信じられない。
ベアトリクスも言ったように、彼は必ずどこかで今も呼吸をしている。
彼に会いたい。
彼がそばにいてくれるだけで、どんな状況だって、大丈夫なんだって思えるから。
自分の国のことなのに結局は自分一人ではどうすることもできない不甲斐なさと申し訳なさ、そして、彼に会いたいという想い。すべてが胸で渦巻いていて、ガーネットは苦しかった。
ジタン……!
絶対に次にこの城へと戻る時は、打開策と希望をもって帰ってくるのだと誓いながら、ガーネットはホールを駆け抜けた。
目指す光はただひとつ。
ジタンのもとへ。
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